それでも君は笑っていて
「ごめん、掃除行く」
わいわい人が集まって、なかなか進めなくなったためか、そう言って私の腕を掴む周くん。
「気にしなくてもよかったんだよ?」
「嫌。ヒヨと話せなくなる」
徐々に小さく、消えそうなくらいになっていく言葉。
野球部のハキハキとした話し方とは全く違う。
周って呼んでと言われた時も、同じように徐々にボソボソと話していた。
「周くん、耳まで真っ赤だよ?大丈夫?」
「うん」
「あ!!須東、佐堂!遅いぞ!」
鬼のような顔をした担任の言葉で、私たちの会話は中断された。