iNG 現在進行形の恋【濃縮版】
「お大事に」

仁は私を見ることなく坂本君と私を置き去りにして出ていった。

私は仁が出ていったドアを呆然と眺めていた。


これで良かったの。

だって遅かれ早かれ、きっとこうなった。

それが少し早まっただけ……。

もっと苦しむ前に手離したこの選択が正解だったの……。


「鈴宮、仁を追い掛けなくて良いのか?」

先程どちらを選ぶのかと訊いた坂本君が、私にまさかの言葉を投げた。


「え……?」

「気付いてないの?泣いてるよ」

坂本君は眉をハの字にしてこちらを見ている。
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