iNG 現在進行形の恋【濃縮版】
「分かりました……じゃあ玄関まで……」

でもそんな言葉を言えるはずもなく私はそれを呑み込むと、見送ろうと席を立とうとする。

「大丈夫、御飯食べて」

だが仁はそう言って右手を出して私を制止させた。

私は立とうとした姿勢を仕方なく戻す。

「行ってくる」

「いってらっしゃい……」


見送ることすらさせて貰えない……。


仁がリビングから出て行って、玄関の方から扉が閉まる音が聞こえると、また恐怖を感じ始めて私は部屋の隅に走って座り込む。
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