iNG 現在進行形の恋【濃縮版】
私はそんな彼を忘れることも出来ない。

自分が惨めすぎて泣きたくなる……。


『まもなく電車がまいります』

そこにアナウンスが響く。
すぐに電車が到着し扉が開くとやっぱり人だらけの満員電車。


「鈴宮、こっち」

そう言って坂本君は突然私の腕を掴み、そのまま電車に乗り込んで。
私は突然の事にされるがまま。
心臓は触れられた腕のせいで高ぶっている。
腕はすぐに解放されて、すぐに心臓を落ち着かせるはずだった。


「俺の前に居て」


ここは満員電車。

人でギュウギュウ詰め。

目の前には坂本君のネクタイ。

彼は自分の手を使って、人の圧迫感から私を守るように壁のように立っている。
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