私の失恋の行き着く先は…No.2
プロローグ


「結婚するから別れよう」

「は?」

目の前の男は優雅にコーヒーを飲みながら、意味がわからないことを平然と言った。

結婚するから別れるって、一体どういうことだ?

男はコーヒーを飲み終えると伝票を持って立ち上がった。

私はただぼんやりと、その動作を眺めていた。

「受付の彼女、妊娠したから結婚する。それじゃ」

補足説明して男は去っていった。

この時、周囲に人がいなくて良かったと心底そう思った。

こんな笑い話…じゃなかった、別れ話は誰にも聞かせられない。

「そうなんだ…」

しばらくして私の口から出た言葉は、誰の耳にも聞こえることはなかった。



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