一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
「あ~、こりゃすごいや」
カシャリ、カシャリとシャッターを切りながら抑揚なく麻生が呟く。
「やっぱりモデル界のプリンスは違うな、こんな酷い顔でも、ちゃんと絵になる」
「……これ、雫に送っちゃおうかなぁ」
――やめろ。
「君が、彼女の姿見ながら果てちゃった動画も」
――やめてくれ。
「男の体液、口から垂れ流してるなんて知ったら、」
「彼女、どう思うかな……?」
「きっと君のこと、可哀想な目で見るんだろうなぁ」
彼女はいつも、こうして脅されていたのだろうか。
俺の、清らかなスノードロップ。
優しくて、可愛くて。
どんなに怖かっただろう。
どんなに、どんなに…………。
言葉が見つからない。
彼女の苦しさ、不安、悲しさ、切なさ、寂しさは。
会いたい。
また会えたら、俺がどんなことをしても、ぬぐってみせるのに。
淀んだ空気を凛と切り裂くように、麻生の携帯電話が鳴った。
「……雫? 来たって、ここに? うそでしょ?」
……彼女が、来ている……?
見られたくない。
こんな姿は。
彼女にだけは、見られたくない。
カシャリ、カシャリとシャッターを切りながら抑揚なく麻生が呟く。
「やっぱりモデル界のプリンスは違うな、こんな酷い顔でも、ちゃんと絵になる」
「……これ、雫に送っちゃおうかなぁ」
――やめろ。
「君が、彼女の姿見ながら果てちゃった動画も」
――やめてくれ。
「男の体液、口から垂れ流してるなんて知ったら、」
「彼女、どう思うかな……?」
「きっと君のこと、可哀想な目で見るんだろうなぁ」
彼女はいつも、こうして脅されていたのだろうか。
俺の、清らかなスノードロップ。
優しくて、可愛くて。
どんなに怖かっただろう。
どんなに、どんなに…………。
言葉が見つからない。
彼女の苦しさ、不安、悲しさ、切なさ、寂しさは。
会いたい。
また会えたら、俺がどんなことをしても、ぬぐってみせるのに。
淀んだ空気を凛と切り裂くように、麻生の携帯電話が鳴った。
「……雫? 来たって、ここに? うそでしょ?」
……彼女が、来ている……?
見られたくない。
こんな姿は。
彼女にだけは、見られたくない。