一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
「宝来寺さん、僕ね、雫のことが本当に好きなんですよ」
電話を切った麻生が、唐突に語り始めた。
「あなたなら、わかると思うなぁ、僕の気持ち」
「僕以上に彼女を愛してる人間なんていない」
「彼女のことなら何でも知っていたいし、彼女のものなら何でも欲しい」
「彼女の表情は、どんなものも見逃したくない」
「他の男には絶対に触らせない」
「あなたは、触った、僕の雫に」
「こんな写真まで撮って……傷つくなぁ、ホント」
「こんなことなら、さっさと籍を入れて、閉じ込めてしまえばよかった」
「ねえ、雫のどこまで触ったの? 腕は? 抱き締めてたよね、許せないなぁ」
「キスはした? 付き合ってるの? なんで2人で出掛けてたの?」
「まさか……抱いてないよね? 僕の雫を」
「苦しい。許せない。雫に触った部分、全部燃やしちゃおうかな」
――僕の雫を、僕の雫を、僕の雫を。
……狂ってる。
火のついたライターで、前髪を燃やされた。
ちりちりと嫌な音がする。
次は、……顔、だろうか?
静かに燃えるライターの火を見つめながら、ぼんやりとそんなことを思っていたとき。
視界の隅にうつる麻生の瞳から、ひとしずく。
…………涙、か……?
少し遠くで、男の慌てる声がした。
バタバタと騒がしい。
なんだ……?
「伶!」
「伶さん!!」
「伶さん!!」
聞きおぼえのある声が届いた。
一人じゃない、複数人が、俺を呼ぶ。
助けが、来た……?
よかっ、た……。
こんなんでも、まだ緊張していたらしいと自分を嘲る。
気を。失いそうだ。
電話を切った麻生が、唐突に語り始めた。
「あなたなら、わかると思うなぁ、僕の気持ち」
「僕以上に彼女を愛してる人間なんていない」
「彼女のことなら何でも知っていたいし、彼女のものなら何でも欲しい」
「彼女の表情は、どんなものも見逃したくない」
「他の男には絶対に触らせない」
「あなたは、触った、僕の雫に」
「こんな写真まで撮って……傷つくなぁ、ホント」
「こんなことなら、さっさと籍を入れて、閉じ込めてしまえばよかった」
「ねえ、雫のどこまで触ったの? 腕は? 抱き締めてたよね、許せないなぁ」
「キスはした? 付き合ってるの? なんで2人で出掛けてたの?」
「まさか……抱いてないよね? 僕の雫を」
「苦しい。許せない。雫に触った部分、全部燃やしちゃおうかな」
――僕の雫を、僕の雫を、僕の雫を。
……狂ってる。
火のついたライターで、前髪を燃やされた。
ちりちりと嫌な音がする。
次は、……顔、だろうか?
静かに燃えるライターの火を見つめながら、ぼんやりとそんなことを思っていたとき。
視界の隅にうつる麻生の瞳から、ひとしずく。
…………涙、か……?
少し遠くで、男の慌てる声がした。
バタバタと騒がしい。
なんだ……?
「伶!」
「伶さん!!」
「伶さん!!」
聞きおぼえのある声が届いた。
一人じゃない、複数人が、俺を呼ぶ。
助けが、来た……?
よかっ、た……。
こんなんでも、まだ緊張していたらしいと自分を嘲る。
気を。失いそうだ。