一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
 ふと、王様ゲームみたいだな、と思った。

 合コンなどの飲み会でお馴染みの、レクリエーションゲームだ。

 『王様だーれだ』の掛け声でくじを引いて決まった王様が、誰にどの番号が振り分けられているかわからない状態で、命令を下す。

 ……最も、今時の若い人が今も飲み会でやっているかは定かではないけれど。


 宝来寺伶はずっと“王様”で、王様の命令は、“絶対”なのだ。


「……それで、あんたは何してくれるの?」

 王様、もとい、王子様が私を見つめ、意地悪そうに微笑む。

「えーっと、今朝はすみませんでした!」

 ぺこっと勢いよく頭を下げた。

 一瞬視界に入った塚本さんが、頭上にクエスチョンマークを浮かべている。

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