一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
 綺麗だった。

 純白のドレスとベールに身を包み、ゆっくりと歩いて進む新婦。
 

 今この瞬間は、彼女の人生において最も輝かしい、節目となる時間なのだろうと、子どもながらに感じられた。

 この先何年経っても、子どもが生まれても、新郎と喧嘩をしても、この瞬間は一生忘れないに違いない。

 何度も思い出して、何度でも幸せに浸れる。


 そういう瞬間に、自分は立ち会っているのだ、と。





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