一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
ある日、私の中にある仮説が浮かぶ。
本当はこの世のどこかにまだ、この、自分によく似たモデルの少女が存在しているんじゃないか。
それなのに自分が、何者でもない自分が、この顔と、身体が似ているばっかりに、誤って取り替えられてしまったんじゃないか。
同じ家に生活している父親も、母親も、本当は私の親なんかじゃない。彼女の親だ。
父親も、母親も、私には親だなんて嘘をついて、本当は、彼女がいなくなってしまったことを哀しんでいる。
何もない、空っぽの私なんかに取り替えられてしまって、心底がっかりしている。
私たちの娘を返せ――と、思っているんじゃないか……。
6月20日。
15歳の誕生日が来た。
その日は梅雨の最中の大雨で、空も暗く、まったくめでたい気がしなかった。
それがからっぽの私の、最初の記憶。
本当はこの世のどこかにまだ、この、自分によく似たモデルの少女が存在しているんじゃないか。
それなのに自分が、何者でもない自分が、この顔と、身体が似ているばっかりに、誤って取り替えられてしまったんじゃないか。
同じ家に生活している父親も、母親も、本当は私の親なんかじゃない。彼女の親だ。
父親も、母親も、私には親だなんて嘘をついて、本当は、彼女がいなくなってしまったことを哀しんでいる。
何もない、空っぽの私なんかに取り替えられてしまって、心底がっかりしている。
私たちの娘を返せ――と、思っているんじゃないか……。
6月20日。
15歳の誕生日が来た。
その日は梅雨の最中の大雨で、空も暗く、まったくめでたい気がしなかった。
それがからっぽの私の、最初の記憶。