一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない

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「う……また届いてる」

 メールの受信フォルダには、見覚えのあるメールアドレスが表示されていた。

 恐る恐るクリックすると、本文欄を埋め尽くすような長文のメッセージに眩暈がする。

 添付ファイルには、いつ撮られたのか記憶にない、アパートの前にゴミを出す私や、スーパーで買い物をしている私の写真。

 それから……

 開かなくても記録されている内容がわかるようになってしまった、動画ファイル。



 私は――“脅迫”されている。



 震える指でスマートフォンの電話帳を開き、一度は消したはずだった番号に電話をかける。


「……もしもし、流司さん?」


 初めて別れを切り出してから数ヶ月経過した、元・交際相手の弾んだ声とは裏腹に、私の気持ちは沈みきっていた。

 彼の要求通りに会えばまた、カラダの関係を求められる。

 そのたびに私は記憶を失い――自分の身体に何が起きたのか知らないまま、不安な夜を過ごすのだ。



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