一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
 白昼夢にしては、やけにハッキリとした夢だった。

 私に残された、数少ない思い出のひとつなのかもしれない。


 ……ませてたなぁ、あの子。


 あの子が私の妄想でないとしたら、今頃どんな大人になっているんだろう。

 思い描いて、何となしにふふふっと笑ったその時、背後でかさりと人の動く気配がした。



「なにやってんの」


「セクシーなパパラッチさん」



 心臓に一刺し、ドキリとど真ん中に突き刺さる、声。

 男らしいざらつきのある低い声と、どこか気だるげで甘えたような話し方。

 まさか……。

 ある種の確信を持ちながら、ゆっくりと振り返った。



「パンツ、見えてるよ?」




――宝来寺、伶。


 ある種の確信は、あっさりと現実のものとなった。


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