一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
 ……一体どうしてこんなことになったのだろう。

 モデル界のプリンスと、ツツジの生垣の陰にしゃがみこんで、花冠を編む、の巻。


「えー、全然できない」

「うっそ、簡単でしょ」

「宝来寺さんが器用なんですよ」

「まーね、俺天才だから」

「あ、自分で言います?」

「たいていのことはできるよ、料理でも裁縫でも、アイロン掛けだって」


 まったく想像がつかない。

 と思っている間に、彼の花冠は完成したようだ。

 私の方はというと……、彼の長さの5分の1にも満たない。



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