一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
「知ってる? シロツメクサの花言葉」
「え、知らないです」
「クローバーの花言葉は?」
「え、えーと……、幸せ、とか、そんなの、かな~?」
この人は花言葉にも通じているのか。
女子力の差を見せつけられて愕然とする私をよそに、小さな花冠は完成した。
「……じゃあ宿題。次までに調べておくよーに」
学校の先生風に冗談めかして言うと、私の左手をとって……薬指にできたばかりの花冠をはめた。
午前中に目にしたばかりの、教会での指輪交換のワンシーンが思い出され、赤面する。
「俺にも、はめて?」
……やっぱり。
なんとなくそんな気はしていた。
上目遣いで可愛くおねだりされた、と思っていいのだろうか。
恥ずかしさでいっぱいになり、ますます熱が上がっていく。
はやく、と急かされるがままに彼の左手をとり、私の編んだ花冠――だったもの――を、彼の薬指にはめた。
少し、手が震える。
「……はずさないでね、それ」
「えっ」
「……約束」
私の返事を待たずに、彼は小指同士を絡めてきた。
お揃いのシロツメクサの指輪が、おなじみのメロディーに乗って縦に揺れている。
「またね」
スーツについた汚れを軽く払うと、私の頬に軽くキスをして……彼は去っていった。
腰が抜けたように、へなへなとその場に座り込む。
子どもたちは、いつの間にかいなくなっていた。
遠くからかすかに、彼を見つけて叱っているらしい石神さんの、芝居がかった声が聞こえたような気がした。
「え、知らないです」
「クローバーの花言葉は?」
「え、えーと……、幸せ、とか、そんなの、かな~?」
この人は花言葉にも通じているのか。
女子力の差を見せつけられて愕然とする私をよそに、小さな花冠は完成した。
「……じゃあ宿題。次までに調べておくよーに」
学校の先生風に冗談めかして言うと、私の左手をとって……薬指にできたばかりの花冠をはめた。
午前中に目にしたばかりの、教会での指輪交換のワンシーンが思い出され、赤面する。
「俺にも、はめて?」
……やっぱり。
なんとなくそんな気はしていた。
上目遣いで可愛くおねだりされた、と思っていいのだろうか。
恥ずかしさでいっぱいになり、ますます熱が上がっていく。
はやく、と急かされるがままに彼の左手をとり、私の編んだ花冠――だったもの――を、彼の薬指にはめた。
少し、手が震える。
「……はずさないでね、それ」
「えっ」
「……約束」
私の返事を待たずに、彼は小指同士を絡めてきた。
お揃いのシロツメクサの指輪が、おなじみのメロディーに乗って縦に揺れている。
「またね」
スーツについた汚れを軽く払うと、私の頬に軽くキスをして……彼は去っていった。
腰が抜けたように、へなへなとその場に座り込む。
子どもたちは、いつの間にかいなくなっていた。
遠くからかすかに、彼を見つけて叱っているらしい石神さんの、芝居がかった声が聞こえたような気がした。