一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
 帰宅後、撮影したデータをパソコンに取り込み、編集しようと一覧を開く。

 ざっと目を通していると、あのシロツメクサの花冠の写真が目に留まった。

 正直、新郎新婦には全く関係ないのだが……。

 時期を表す小物のひとつとしていいかもしれないと思い、こっそり写真に残しておいたのだ。


 結局家に帰るまではずさずにいたシロツメクサの指輪は、入浴するとさすがに壊れてしまうだろうと考え、花冠と一緒に仕事机に飾った。

 何となく寂しくなった薬指をさすりながら、ふと、彼に言われていた、花言葉の宿題を思い出す。

 確か、シロツメクサと……クローバーだったっけ。

 似ているけれど、違いがあるんだろうか。


 インターネットを開き、簡単に検索してみる。

 やはり、シロツメクサとクローバーは同じもののようだった。

 クローバーの和名がシロツメクサというわけだ。


「へー、勉強になるなぁ」


 今度は、【クローバー 花言葉】で検索をかける。

 タブに円がくるくると描かれた後、しばらくして2つの花言葉が表示された。

 
 読んだ瞬間、宝来寺さんの顔が思い浮かんだ。

 あの時彼は、一体どんな気持ちで、私に花言葉を聞いたんだろう。


 胸がぎゅっと締め付けられて、涙が出そうになる。



 1つめの花言葉は、『約束』。



 そして、


 2つめの花言葉は…………




『私を思い出して』







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