一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない

コレクション

『本日のゲストは、去年大ブレイクを果たし、女性たちの間で大人気!

 2年連続“抱かれたい男”No.1にも選ばれた、

 これからの活躍が最も期待されている若手俳優・モデルの、宝来寺伶さんです!よろしくお願いします~!』

『よろしくお願いします』

『いやぁ~、ほんっまにイケメンですねぇ~~』


 関西弁の中年の男性司会者に大げさに紹介され、画面に写った自分を見る。

 この日の自分も、自分でも驚くほどの爽やかな笑顔で、頭を下げていた。


 リモコンを手に取り、マネージャーに指示された分数まで早送りをする。

 先日、対談形式の番組でインタビューに答えたのだが、際どいところまで喋りすぎだと叱られた。

 プロデューサーは大喜びだったが、マネージャーの圧力により、際どい部分はカットされて放送されるらしい。

 今は、編集前のワンカットで撮影されたものを――これもマネージャーの圧力により――持ち帰り、「勉強しなさい」と見るように言われている。


マネージャーである石神廉が問題視したのは、『初恋の人』というテーマの部分だ。


< 62 / 122 >

この作品をシェア

pagetop