一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
 ずっと、ずっと好きだった、“初恋の人”。

 会いたくて、会いたくて。

 でも、もう会うことはできないんだろうと、どこかで諦めていた。

 事ある毎に彼女のことを思い出し、こんな時彼女ならどうしただろうか、とか、今頃どうしているんだろうか、とか……。

 想いを馳せては、ため息をついた。


『でもなぁ~いくら昔の話とは言え、伶くんに告白なんかされたら、一般女性なら特に倒れるで~! えーと、伶くんが4歳の時に小学生だったというと、その女性は今は……30前後にはなってるかな? 独身やったん?』

『そうですね~、えーと……』

 自分の視線が、司会者ではない方へ動いていく。

『……すみません、マネージャーがこれ以上はストップだって(笑)』

 カメラがぐいんとマネージャーのいるスタジオの隅まで回り、頭の上で大きくバツ印を作って掲げている不機嫌そうな顔の――もっとも、それはいつものことだが――マネージャーの姿が映しだされた。

『え、あれマネージャーさん? マネージャーさんもめっちゃイケメンじゃないすか! お兄さん?』

 観覧席がマネージャーに注目し、驚きと笑いでざわつく。

『ありがとうございます(笑)。よく言われるんですけど、実は――』


 そこで、停止ボタンを押した。

 ひとまず言われた部分は確認し終えたからだ。

 何がいけないのか、いまいちよくわからない。よくわかりたくないのかもしれない。

 ソファにごろんと寝転がって、また、ため息をついた。



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