一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
何気ない話の中で何度かタイミングを見逃しながら、やっとのことで彼女に小さな手提げの紙袋を差し出した。
彼女が髪を留めていた、淡いグリーンのヘアクリップ。
……と、実はもう1つ。
「え? なんですか?」
「この間、持って帰っちゃったんだ。なくて困らなかった?」
「えーと…………あー! 宝来寺さんが持っててくださったんですね」
反応から察するに、やはり探していたようだ。
他人の男が持ち帰っていたことに対する嫌悪感はなさそうで――俺がしたあれやこれやを知らないのだから当然かもしれないが――、ひとまずホッとする。
反応を窺っていると、心なしか彼女の頬が赤い。
ずっと彼女の横顔を見ていたからわかる程度に、ほんのり赤く染まっていく。
……もしかして、あの時のキスを思い出しているのだろうか……?
もしそうだったらば、自分のことを、男として意識してくれている、ということなんだろうか。
……なんて、俺はまた余計な期待をしている。
どうしてこう都合のいいように考えるんだろう。
今日は、そういうんじゃないんだって。
自分に言い聞かせていると、彼女が“もう1つ”の包みに気が付いた。
不思議そうに取り出して、「これは?」と問う。
「……気に入らなかったら捨ててくれていいんだけど」
「迷惑かけた、お詫び」
彼女が包みを留めていたビニールのテープをはずし、“それ”を取り出した。
小さな白い花と上品なパールで飾られたバレッタが顔を出す。
どのような反応が返ってくるか心配で、彼女の横顔をじっと見つめていると、
「え。えええええ! もらっちゃっていいんですか!!?」
予想を上回るテンションに、かえって驚かされた。
喜んでもらえた、らしい。
彼女が髪を留めていた、淡いグリーンのヘアクリップ。
……と、実はもう1つ。
「え? なんですか?」
「この間、持って帰っちゃったんだ。なくて困らなかった?」
「えーと…………あー! 宝来寺さんが持っててくださったんですね」
反応から察するに、やはり探していたようだ。
他人の男が持ち帰っていたことに対する嫌悪感はなさそうで――俺がしたあれやこれやを知らないのだから当然かもしれないが――、ひとまずホッとする。
反応を窺っていると、心なしか彼女の頬が赤い。
ずっと彼女の横顔を見ていたからわかる程度に、ほんのり赤く染まっていく。
……もしかして、あの時のキスを思い出しているのだろうか……?
もしそうだったらば、自分のことを、男として意識してくれている、ということなんだろうか。
……なんて、俺はまた余計な期待をしている。
どうしてこう都合のいいように考えるんだろう。
今日は、そういうんじゃないんだって。
自分に言い聞かせていると、彼女が“もう1つ”の包みに気が付いた。
不思議そうに取り出して、「これは?」と問う。
「……気に入らなかったら捨ててくれていいんだけど」
「迷惑かけた、お詫び」
彼女が包みを留めていたビニールのテープをはずし、“それ”を取り出した。
小さな白い花と上品なパールで飾られたバレッタが顔を出す。
どのような反応が返ってくるか心配で、彼女の横顔をじっと見つめていると、
「え。えええええ! もらっちゃっていいんですか!!?」
予想を上回るテンションに、かえって驚かされた。
喜んでもらえた、らしい。