一途な溺愛プリンスはベールアップを譲れない
……口説かれているのだろうか。
一瞬そんなことがよぎったが、あまりにも図々しすぎると思い払いのけた。
彼はこんなにも若くて美しい芸能人で、私はしがないカメラマン。しかもアラサーだ。
彼が本気で相手にするわけ、ない。
……じゃあ、どうして今日、デートだと言って誘ってくれたのだろうか。
払いのけても払いのけても、期待が募ってしまう。
図々しい想像だとわかっていても、そうだといいなと望んでしまう。
この話題を終わらせたくて、私は鞄から角形7号サイズのクラフト封筒を取り出した。
「あの、これ、よかったらもらってください」
彼は不思議そうな顔をして受け取り、中身を確認して「あ」と声をあげた。
驚きと喜びが混じったような、子どものような素直な表情にこちらも嬉しくなる。
シロツメクサの花冠の写真。
彼が作ってくれた花冠の中央に自宅にいた小さなテディベアを座らせ、頭に指輪を乗っけて撮影したものだ。
「『保存しようと思った』って、おっしゃってたから……写真なら、枯れずに残りますし」
食い入るように写真を見つめる宝来寺さんを、私も見つめた。
いかにも女子な写真だが、喜んでもらえたみたいだと、ホッとする。
「ねぇ、このクマさ、」
「よかったら挙式の写真も」
同じタイミングで話し始めてしまい、お互いにハッと顔を合わせる。
「あ、ごめんなさい。お先にどうぞ……」
「あ、では。えーと、このクマって」
「クマですか? うちの子ですよ。そう言えば一人暮らし始めた頃にはもういたから、けっこう年季入っちゃってるかも」
「……そう、なんだ」
前にも思ったが、宝来寺さんの質問ってなかなか変わっている。
この間は、なぜカメラマンになったのか、と聞かれた。
モデルじゃなくて、とも言っていたけど、もしかして……。
「挙式の写真もあるの? 見たい」
「あ、はい。お渡しすることはできないんですけど、iPadにデータ入れてきたので、ぜひ」
一瞬そんなことがよぎったが、あまりにも図々しすぎると思い払いのけた。
彼はこんなにも若くて美しい芸能人で、私はしがないカメラマン。しかもアラサーだ。
彼が本気で相手にするわけ、ない。
……じゃあ、どうして今日、デートだと言って誘ってくれたのだろうか。
払いのけても払いのけても、期待が募ってしまう。
図々しい想像だとわかっていても、そうだといいなと望んでしまう。
この話題を終わらせたくて、私は鞄から角形7号サイズのクラフト封筒を取り出した。
「あの、これ、よかったらもらってください」
彼は不思議そうな顔をして受け取り、中身を確認して「あ」と声をあげた。
驚きと喜びが混じったような、子どものような素直な表情にこちらも嬉しくなる。
シロツメクサの花冠の写真。
彼が作ってくれた花冠の中央に自宅にいた小さなテディベアを座らせ、頭に指輪を乗っけて撮影したものだ。
「『保存しようと思った』って、おっしゃってたから……写真なら、枯れずに残りますし」
食い入るように写真を見つめる宝来寺さんを、私も見つめた。
いかにも女子な写真だが、喜んでもらえたみたいだと、ホッとする。
「ねぇ、このクマさ、」
「よかったら挙式の写真も」
同じタイミングで話し始めてしまい、お互いにハッと顔を合わせる。
「あ、ごめんなさい。お先にどうぞ……」
「あ、では。えーと、このクマって」
「クマですか? うちの子ですよ。そう言えば一人暮らし始めた頃にはもういたから、けっこう年季入っちゃってるかも」
「……そう、なんだ」
前にも思ったが、宝来寺さんの質問ってなかなか変わっている。
この間は、なぜカメラマンになったのか、と聞かれた。
モデルじゃなくて、とも言っていたけど、もしかして……。
「挙式の写真もあるの? 見たい」
「あ、はい。お渡しすることはできないんですけど、iPadにデータ入れてきたので、ぜひ」