出られない51の部屋
46の部屋
もう、あと五部屋。
ミケも、きっとわかってる。
あと五部屋で、どんなに足掻いても、私とミケは別れるのだ。
正面の扉に綴られた文を、ミケが声に出して読んだ。
「『互いの指を絡めないと出られない部屋』だって。雪、どうする?」
相変わらず、意地悪な部屋だと思った。
どの指をだとか、どんな風にだとか、一言も書かれていない。
「……どうしよう、か」
私がそう小さく呟くと、ミケは「うーん」と少し上を見上げて考える。
「とりあえず座ろう」
「うん」と返し、私とミケは今までと同じように、部屋の真ん中に腰を下ろした。
「とりあえず絡める〜?」
そう言いながら、ミケは指をバラバラに動かしてみせる。そんなミケに、私は自然と眉間にしわが寄った。
「ごめんって」
ミケはそう軽く謝る。
ふと、私の頭に一つの案が過った。
「……じゃあ」
私は、自分の小指を立て、ミケの方に向ける。
「約束をしよう、ミケ」
「え……?」
「この部屋を全部出たら、もう一度会うって。約束しよう」
私の言葉に、ミケは目をまん丸にさせていた。
そして、一瞬瞼を閉じる。
瞼を開ければ、ミケは優しい笑みを見せ、「いいよ」と答えた。
ミケは私の小指に、自分の指を絡める。
その瞬間、扉の開く音がきこえた。