出られない51の部屋
48の部屋
『互いが一分間目を瞑らないと出られない部屋』
部屋の真ん中に座りながら、そんな文字を見る。
以前と同じように、ドアの上には『1:00』とタイマーが掲げられていた。
私は視線をミケへと移す。
すると、ぱちりと、ミケと目が合った。
ミケは優しく微笑み、ゆっくりと目を閉じる。
私も同じようにゆっくりと目を閉じる。
すると、タイマーが動き出す音が聞こえた。
目を閉じると、自然と何かを考え始める。
この部屋にきたこと、ミケと出会ったこと、ミケと話したこと。
今までのことが、頭を巡る。
ミケと別れたくない。
そう思うのに、私は次の部屋へと進む。
ミケはおかしいと思わないのだろうか?
いや、思っていても、言わないだけだ。
言ってしまえば、自分も進まないといけない理由を言わないといけないから。
私も同じだ。
ミケと別れたくない。
ミケも、別れたくないと言う。
じゃあ、どうして、次の部屋に進むのか。
一つの部屋にとどまれば、水も食料もあるのだから、少しでも長く一緒にいられるだろうに。
でも、それ以上に……この部屋を出たい理由があるのだ。
私にも、ミケにも。戻らないといけない理由がある。
それに……願ってしまう。
「雪、一分経った」
「……うん、次、いこう」
願ってしまう。
一度別れたって、もう一度ミケと出会える未来を。