moon~満ちる日舞う少女~【下】
美「…ん…」
愛「お。起きたかっ」
美「…愛斗さん…」
愛「もう夕方だ。…よく眠ってたよ」
きっと、愛斗さんと香月がいるこの部屋に安心したんだろう。……よく眠れた。
愛「送ってくから準備しとけ」
美「あれっ?なんでかばん…」
愛「総に頼んどいた。香月の分も」
あ、そういえば香月は?……って、寝てる…。判子を持ったまま器用に座って寝ていた。
美「香月ー!帰るよ」
香「んあ?…姉ちゃん…。ふわぁぁあ…ってここどこだ?」
愛「寝ぼえてんじゃねぇ、理事長室だ!」
香「あ!そうだ!」
愛「帰るぞ」
外はまだ雨が降っているし、甘えて送ってもらおう。
愛斗さんの車の中。
香「姉ちゃん、風邪ひいてるなら家の方がいいんじゃねぇか?…それに……いや、なんでもねぇ」
香月が言いたいことはなんとなく想像できるよ。
美「ううん。一応、気を張っておこうと思うから」
香「そっか。わかった」
愛斗さんの車は香月の家についた。
香「また明日な」
美「うん」