moon~満ちる日舞う少女~【下】
美「月龍はさ、何がしたいの?」
そう、私はずっと聞きたかった。トップファイブだと言うのに、脅威すら感じない。
勝「そりゃぁ…トップ…狙って………ねぇ…?」
みんなが顔を見合わせる。…それもそうだ。本当にそれが目的でみんな集まっているわけじゃないから。
ひとりひとりにとっての大切な場所に…ただいたいだけなんじゃないの?
陸「…何としてでも…ってわけじゃねぇ。……俺らがいたい場所がここまで上がってきた。だからその上にいる奴を踏み台にする」
夜舞を踏み台呼ばわりかぁー。…でも…
香「俺はそう感じたことはねぇよ」
みんながビクッとしたのがわかった。………さすが、私の弟。そういう勘は、私と似てる。
陸「どーゆう意味だ」
香「そのままの意味だ。…俺は月龍にいて、楽しかったし大切な居場所だった。…でも…今俺らはどこにいるんだっ!ただここまで登って、そこから何もしないのか?!」
スポーツ選手とかでもよくある話だ。頑張って頑張って、練習する。誰だって優勝には憧れるもの。楽しいことも辛いことも…全部感じて、そして優勝をとった。
じゃあ次は?…目指していた優勝に届いた。…もう目指すべき目標がない。ただただ目の前が真っ暗になる。