moon~満ちる日舞う少女~【下】
修也の過去
〜修也side〜
ーー…
「オラァァァァア!!!」
ードカッー
ーバキッー
修「…弱っ」
不「おーさすがだなぁ〜修也」
修「ども…」
不「…それにしても、俺らに喧嘩売るなんて馬鹿な奴らだなぁ」
修「そうっすね」
当時中学1年になったばかりだった俺は黒炎という族に入っていた。その黒炎の総長が不破さんだった。
正当な族。…とは言えないかもしれない。薬や銃を使うことはないが、気に入らなければ一般人にも手を出す非道な組織。
と、言っても…そこら辺にいる人に喧嘩をふっかける訳じゃない。肩がぶつかったとか、ガンつけていたとか…そんな大したことのない理由ばかりだ。
ードンッー
公園に向かう子供2人が不破さんにぶつかった。…だけならよかったのだが、バケツに入っていた土がバイクにかかってしまった。
不「おい、ガキが何してくれてんだ」
子供は二人して泣いていた。本能的に分かるのだろう。
不「おい修也」
俺は子供を蹴り倒した。…ズサッと倒れた子供は血を出しながら泣いていた。その子供の側によったもう1人の子供は、守るように抱きしめていた。
もしかして、こいつら兄弟なのか?
ふと、そう思った。
不「ガキふたり始末しとけ修也」
修「はい」
ーブロロロロロー
不破さんの前で子供を2人とも蹴り飛ばした。不破さんが見えなくなってから俺は携帯でタクシーにでんわして、気を失った子供と泣くのを我慢してる兄弟に近づく。