moon~満ちる日舞う少女~【下】
ーコンコンー
愛「どーぞー」
ーガチャー
愛「美月」
美「すみません、愛斗さん。少しの間ここに居てもいいですか?」
愛「おお。美月が居たいならいつだって何時間だっていていいぞー!そして、2人で愛を…ッグフッ」
私は愛斗さん目掛けて思わずカバンを投げつけていた。
愛「ひどいぞ☆」
その語尾に☆がついてるのがものすごく気になるんですが。
美「はぁ」
愛「総から聞いたぞ。月龍のこと」
美「そうですか。………愛斗さんは間違っているとおもいますか?」
愛「いつになく弱気だな。…罪悪感でも感じているのか?」
美「逆です。全く感じてないんです」
愛「そうか」
美「おかしいですか?」
愛「いや。お前は鈍いからな」
美「はい?」
愛「いや、鋭い…の間違いだな。…わかっているのに気づかないようにしてる。器用だよ」
美「意味がよくわからないんですけど」
愛「まぁ、とにかく。美月が言う、間違いってのはなんだ?」
美「…相手を傷つけてまで、自分の意志を通すのは…ダメなのかなって…」
愛「…それは俺にはわからねぇ。……でも、自分自身の意志があるなら。俺は貫けばいいと思う。間違ってたっていいじゃねぇか。そもそも…」
愛斗さんは人さし指をたてた。
愛「選択肢がいくつあったって、選べるのは必ずひとつなんだ。…そのひとつが間違いだからって、他が正解だなんてわかるわけがねぇ。…選んだやつ以外はわかんねぇからな。だから、そのひとつが間違いだったとしても他の選択肢よりもいい間違いだったならいいじゃねぇか」
愛斗さんは、いつもすごいことをいう。どんなに悩んでいても、吹っ飛ばしてしまう。よく分からないけど、納得してしまう。