moon~満ちる日舞う少女~【下】






美「不愉快な話になるかもしれないけど、聞いてね。……財前家は…知ってる?」



千「もちろんです」



美「じゃあ、そこの令息は誰か知ってる?」



そう言うと千代ちゃんは考え込んだ。知らない、と言うより言うのをためらったような感じだ。



美「陸…だよね?」


千「…ご存知だったんですね」


美「うん。」


千「…」


美「それと、千代ちゃんがあの有名な名家の…赤羽時見財閥の令嬢だってことも…知ってる」


千「そうでしたか…。…もしやそれは、理事長がおっしゃったんですか?」


愛「…すまない」


愛斗さんは顔を下げた。…当然の行動だ。個人情報なんだから。…まぁ、財前家のことは別としてね。だって、学校も知らなかったことなんだから。


千「いえ、理事長は信じられるお方だと思っています。その理事長がお話するということは、それだけ美月先輩のことを信頼しているのと、それだけ事態が悪い。とお察しします」



美「うん。…」

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