moon~満ちる日舞う少女~【下】
当主「君らを信じると誓うよ。さぁ、はなしてごらん」
美「感謝します。…氷雨…いえ、財前陸はご存知ですか?」
当主「もちろんだ。有名な財前家の長男だろう。確か、千代に縁談が来ていたな」
美「実は、彼は月龍の幹部なんです」
当主「そうなのか?!」
知らなかった、のではない。気づかなかった、が正しいのだろう。…月龍では氷雨陸で通っているからな。財前家の長男だとは誰も知らない。
美「それでその陸が最近休学届けを出したんです。連絡しても取れなくて、けれど…陸は今の状況をのぞんでいないんです!だから…だからせめて高校の間だけでも、大切な仲間といられる時間をつくってあげたいんです!!」
『助けてくれ』って陸の叫びが届かなくなるまえにっー。
当主「財前家…か。…相手が相手なだけになぁ…」
美「わかっています。なんでもいいんです!力をかしていただきたいんです」
陸を自分と重ねるところがある。だからなのか、陸を助けたいと強く思う自分がいる。
フルムーンが存在するまでは、私は彼のような人たちを助けてあげたい。