moon~満ちる日舞う少女~【下】
当主「美月君の気持ちはわかった。…手がないわけじゃない」
美「本当ですか?!!」
当主「…千代と、財前の陸君が婚約することだ」
千代ちゃんと陸が婚約?
美「え?!それしかないんですか?!!」
当主「今1番希望が高いのがそれだな」
美「そんなことっ」
千「かまいませんよ」
美「千代ちゃん?!」
千「いずれ必ず誰かと婚約してないといけない。それも、私たち赤羽時見に利益がある方と。…氷雨先輩はあの財前家の長男で、しかも同じ学校なのである程度人柄がわかります」
当主「千代をやるのは嫌だが、いつかは逃れられない道だ」
美「千代ちゃんは、時期当主じゃないんですか?」
当主「いや、時期当主は千代の兄が継ぐことになっている」
なるほど、じゃあ千代ちゃんは財前家に嫁ぐことになるのか…。千代ちゃん自身はいいっていっているけど、本当にそれでいいの?
千「氷雨先輩を助けるにはこれが一番の近道です!…それに、今すぐ婚約というわけではありません。正式に決まるわけでもありません。…見合いの席になってみないとわからないのです、だからとりあえず私が婚約相手ということになり、氷雨先輩を助けてから…そのあとは氷雨先輩自身とご相談したいと思っています」
千代ちゃんは本当にすごい。…たくましい。…
美「…千代ちゃんはいいの?」
千「もちろんです!」
美「……ありかとう」