moon~満ちる日舞う少女~【下】
瀬「なんのまねだっ」
美「…確かに、弱いヤツは強いやつに勝てないのかもしれない。でも絶対じゃない。…弱いヤツは強いやつよりも努力ができるから。…強くなりたいって気持ちが、人を強くするから」
瀬「…意味がわかんねぇよ…っ」
美「人はみんな初めは弱い。…強さってのは個人差がある。……強さの意味を知った人が強くなれる。…″強い″ってそういう事だろ?」
誰かを守りたい。…誰かの力になりたい。…誰かを救いたい。……誰かのために出来ることをしてあげる。……強さっていうのは、誰かのためにあると思う。
…自分がなにかに耐えててもそれは強さじゃない。…弱さだ。…耐えることしか出来ない、自分の弱さ。……だけど誰かのためにって思った時、人は強くなれる。
私はそう思う。
愛斗さんに出会って、夜舞とであって、ライバルとであって、仲間とであって、月龍と出会って、それを今、気づけたんだ。
美「…お前のそれは強さじゃない。…ただのわがままだ。……だからこそ、私はお前を倒す」
私は拳を握る。…きっと、これが最後。
…瀬汐から向かってきた拳を避けて、私は鳩尾をくらわした。