moon~満ちる日舞う少女~【下】
美「な…んで」
香「姉ちゃん、俺さ考えてみたんだ」
近い私にしか聞こえない声で言った。…香月だって階段から、しかも私を抱きしめて落ちたから痛いはずなのに…っ。
香「姉ちゃんが月龍を裏切って…。俺はどうしたらいいがわからなかった。……姉ちゃんは舞月で、俺は月龍の人間。だから離れないといけないって……それは俺にもわかる。」
香月…
香「家を出たのだって…。……父さんが帰れば姉ちゃんがそっちに帰ることはわかってた。…だけどまた…4人で暮らせるんじゃないかって…思ってたんだ。だから、悲しかった」
香月は私を、強く抱きしめた。
香「…でもさ、わかったんだよ。……俺、月龍が裏切られたって、家を出てったって…姉ちゃんは俺が一番大切な姉ちゃんだってことに。…姉ちゃんは俺を裏切らないって言ったんだ。だから信じるよ…。…俺も、姉ちゃんの弟だから。…双子として、姉ちゃんを守るから」
美「…頼もしく…なった…ね」
私は香月に抱きしめられて安心したのか、それとも熱が上がったせいなのかわからなかったけど、そこで意識を手放した。