私の失恋の行き着く先は…No.3
専務に付いていくと、そこは上階のバーだった。
ウェイターに案内されたのは、一番奥の個室。
ドアを開けるなり、「キャハ~」と笑い声がする。
「蓉子ごめん、遅くなった」
専務が手を合わせて謝っている。
「待ってたのよ~。私一人じゃ、どうにもならなくて。あっ!西条先生!お疲れ様です」
「お疲れ様です」
中にいた専務の奥様と挨拶を交わすと、また「キャハ~」と笑い声が個室に響いた。
そちらに視線を向けると、驚きのあまり目を見開いてしまった。
「安住さん!?」
靴は椅子の下に転がっていて、足をブラブラと前後に動かしている。
「律華をご存知で?」
「はい」
ご存知もなにも、法務部で働く彼女とは仕事のやり取りで何度も会っている。