私の失恋の行き着く先は…No.3


専務に付いていくと、そこは上階のバーだった。

ウェイターに案内されたのは、一番奥の個室。

ドアを開けるなり、「キャハ~」と笑い声がする。

「蓉子ごめん、遅くなった」

専務が手を合わせて謝っている。

「待ってたのよ~。私一人じゃ、どうにもならなくて。あっ!西条先生!お疲れ様です」

「お疲れ様です」

中にいた専務の奥様と挨拶を交わすと、また「キャハ~」と笑い声が個室に響いた。

そちらに視線を向けると、驚きのあまり目を見開いてしまった。

「安住さん!?」

靴は椅子の下に転がっていて、足をブラブラと前後に動かしている。

「律華をご存知で?」

「はい」

ご存知もなにも、法務部で働く彼女とは仕事のやり取りで何度も会っている。







< 10 / 36 >

この作品をシェア

pagetop