私の失恋の行き着く先は…No.3


安住律華。

彼女は俺が顧問弁護士をしている外資系企業の法務部で、主に契約法務を担当している。

抜群の知識とミスのない完璧な仕事ぶりから、『法務部紅一点の才女』と呼ばれている。

しっかりしていて、隙がない。

彼女のイメージはそんな感じだったが、今は全くその逆だ。

腰を屈めて彼女の顔を覗き込むと、彼女はフニャッと笑ってすぐにテーブルに突っ伏した。

「彼女、どうしたんですか?」

「私も律華のこんな姿を見るのは初めてで。先生、あとはお願いします」

「えっ!?」

お願いしますって、どういうことだ?

唖然としている俺を余所に、専務の奥様は帰り支度をしている。

専務を見れば、ニヤリと気味の悪い笑みを浮かべていた。



< 11 / 36 >

この作品をシェア

pagetop