私の失恋の行き着く先は…No.3
どうぞ、お手柔らかに
「ちょっと律華、どうして電話繋がらないのよ?」
「蓉子さん、すみません。スマホなくて…」
朝イチで蓉子さんは法務部のフロアにやって来た。
「なくしたの?」
「いえ、そうではなくて…」
なんと言ったらいいのか…。
曖昧に笑って誤魔化すしかない。
そんな時に、この人は現れるわけで…。
「安住さん、おはよう」
「西条先生、おはようございます」
「あら、西条先生。おはようございます」
蓉子さんがニヤリと笑ったのは、見なかったことに…。
「安住さん、はい、これ」
西条先生から手渡されたスマホを握りしめて俯いた。
「ありがとう、ございます…」
西条先生は背を屈めて小声で囁いた。
「ベッドの上に置いてくなんて、ドジだなぁ」
「は!?」
小声とはいえ、周りには確実に聞こえる声で。
「あらやだ。なんだ、そういうことなのね?」
「蓉子さん!そうじゃなくて!」