私の失恋の行き着く先は…No.3
「そうですか…」
私にそんなこと言われても困る。
目の前で色気駄々漏れでそんなこと言われても。
「安住さんといると落ち着くんだよね。職業柄、どうにも恋愛とか結婚に冷めてたけど」
そう言うと、西条先生の大きな手が私の左手を包むように置かれた。
手を引こうにも力強く握られてしまい、離してもらえない。
「さ、西条先生!?」
「これくらいで顔真っ赤とか新鮮だな」
「お酒飲んでるから…」
「口付けるくらいしか飲んでないのに?」
ニヤリと意地悪く笑われた。
「なんの冗談…」
「本気だよ。安住さんが欲しい」
身体が固まって動けない。
周りの音も耳に入らず、西条先生しか目に映らない。
「欲しいって、私はモノじゃありません」