私の失恋の行き着く先は…No.3
俺の職業は弁護士。
つい先ほどまでいた外資系企業の顧問弁護士をしている。
そして、そこの専務に連行されたわけだ。
見た目は若く見えるが、さすがは専務という役職に就いているだけのことはある、なかなかのやり手だ。
敵には絶対したくない人物である。
隣に座る専務をチラッと見ると、スマホを取り出してメールしているようだった。
「実は今、妻と彼女が一緒に飲んでまして」
「はい」
それっきり専務は何も言わない。
『飲んでまして』の後は何なんだ?
気にはなったが、車の心地よい揺れと仕事の疲れもあって、目を閉じた。
ほんの数分で車が停止したと同時に目を開けた。
見覚えのあるホテルのロータリー。
仕事の打ち合わせや会食で何度も訪れたことがある。