恋はミステリー~会社編~
寝ても覚めても高橋のことを考える毎日。
だーーーーっ!!!
やってられっか!
むしゃくしゃしながら夜の繁華街をさまよう。
そう。ご飯を外で済ませようという魂胆だ。
それにしてもなんで高橋なんかのことをこんなにも考えねばならんのだ。
そもそも今さら社内恋愛ワンチャンおなしゃすとはそう簡単にはいかんのですよ。
入社してから同僚たちをそういう目でなんか見てなかったし。
まだ歴の浅い増田くんだったらなぁ。
可愛いから有り寄りの有りなのよね。
倉庫での出来事で増田くんへの好感度が急上昇中なのであった。
前までは男としてっていう意識は一切なくて、ただただ弟的な感じで漠然と可愛いって思っていたのだけどなんだかんだ言って増田くんも男なんだなぁと実感した。
単純って言わないで!
殿方とこんなに密着したのなんて久方ぶりだったんですもの。
はぁ、増田くんを持って帰りたい。
っていうかこれって、セクハラ……?
否!脳内にセクハラは適用されないはずだわ!
『ふふふ…ふふ』
『ん…?うわ』
『ふふ……え?』
目の前には山下くんが不審者を見るような冷たい視線をこちらに向けながら立っていた。
なんだ。表情あるんじゃん。
『お疲れ様です』
目が合うと即視線を外し、足早に立ち去っていく。
『あ、待て!』
犬のしつけよろしく叫びながら慌てて後を追いかける。
勢いよく踏み出したはずの私の右足が何故かキレイにツルッと滑った。
『え』
大きく振り乱した腕が山下くんの背後から首もとを捕らえ、衣服をきつく掴んだ。
『おぐ』
その拍子に彼の首がグイッとシャツに締め付けられ、結果的に足を止めさせることには成功したのだった。
『あ、ごめ』
『けほっ…いえ』
『え、だ、大丈夫…?』
『大丈夫…です…』
『あ、ヤダ!これ』
『え?』
思いの外ダメージの残る山下くんを平謝りでスルーして、私は落ちていたバナナの皮を拾って見せた。
『これ踏んじゃって』
てへ☆みたいな表情で言った私に突っ込むでもなく可愛いねとはにかむ訳でもなく一切の感情を失った様子の彼。
『そんなこと現実にあるんですね』
『ねー、ほんとに。誰だよ、こんなとこに。危ないじゃんね』
鞄を漁るとコンビニの小さい袋が有ったのでそこにバナナの皮を突っ込む。
『え、持って帰るんすか』
『だって危ないし、ばっちいでしょ』
『楠見さんが捨てた訳じゃないのに?』
『誰かが持ってかないと永遠にバナナはここにあるんだよ!だったら早く自然へ返した方がいいでしょ』
『へー』
キミ、感情死んじゃったの?
だーーーーっ!!!
やってられっか!
むしゃくしゃしながら夜の繁華街をさまよう。
そう。ご飯を外で済ませようという魂胆だ。
それにしてもなんで高橋なんかのことをこんなにも考えねばならんのだ。
そもそも今さら社内恋愛ワンチャンおなしゃすとはそう簡単にはいかんのですよ。
入社してから同僚たちをそういう目でなんか見てなかったし。
まだ歴の浅い増田くんだったらなぁ。
可愛いから有り寄りの有りなのよね。
倉庫での出来事で増田くんへの好感度が急上昇中なのであった。
前までは男としてっていう意識は一切なくて、ただただ弟的な感じで漠然と可愛いって思っていたのだけどなんだかんだ言って増田くんも男なんだなぁと実感した。
単純って言わないで!
殿方とこんなに密着したのなんて久方ぶりだったんですもの。
はぁ、増田くんを持って帰りたい。
っていうかこれって、セクハラ……?
否!脳内にセクハラは適用されないはずだわ!
『ふふふ…ふふ』
『ん…?うわ』
『ふふ……え?』
目の前には山下くんが不審者を見るような冷たい視線をこちらに向けながら立っていた。
なんだ。表情あるんじゃん。
『お疲れ様です』
目が合うと即視線を外し、足早に立ち去っていく。
『あ、待て!』
犬のしつけよろしく叫びながら慌てて後を追いかける。
勢いよく踏み出したはずの私の右足が何故かキレイにツルッと滑った。
『え』
大きく振り乱した腕が山下くんの背後から首もとを捕らえ、衣服をきつく掴んだ。
『おぐ』
その拍子に彼の首がグイッとシャツに締め付けられ、結果的に足を止めさせることには成功したのだった。
『あ、ごめ』
『けほっ…いえ』
『え、だ、大丈夫…?』
『大丈夫…です…』
『あ、ヤダ!これ』
『え?』
思いの外ダメージの残る山下くんを平謝りでスルーして、私は落ちていたバナナの皮を拾って見せた。
『これ踏んじゃって』
てへ☆みたいな表情で言った私に突っ込むでもなく可愛いねとはにかむ訳でもなく一切の感情を失った様子の彼。
『そんなこと現実にあるんですね』
『ねー、ほんとに。誰だよ、こんなとこに。危ないじゃんね』
鞄を漁るとコンビニの小さい袋が有ったのでそこにバナナの皮を突っ込む。
『え、持って帰るんすか』
『だって危ないし、ばっちいでしょ』
『楠見さんが捨てた訳じゃないのに?』
『誰かが持ってかないと永遠にバナナはここにあるんだよ!だったら早く自然へ返した方がいいでしょ』
『へー』
キミ、感情死んじゃったの?