恋はミステリー~会社編~
とにかくこれまでのことを冷静に整理してみよう。
私は仕事中にZEELE(人類補完委員会)ばりに重々しい空気で思考を巡らせた。

昨日は会社の飲み会だったはず。
そして謎のネクタイがうちにあった。

これってつまり………
社内の誰かがうちに泊まりに来てネクタイを忘れていったってこと!?

まさかと思うけど……

私誰かをお持ち帰りして朝チュンったりなんかしてないよねー!!

『ねーねー、楠見さん』
『む、灰谷くん』
『今朝は遅刻スレスレだったみたいだね』
『う。まあね』
『あの2人って朝まで飲んでたの?仲良かったっけ?』
『え?』
『高橋くんと山下くん』
『さ、さあ?』
『ふーん』
『な、なんで?』
『僕の見間違いじゃなかったら昨日とシャツが一緒じゃない?』
『……全然記憶にない』
『え』
『お、お恥ずかしい』
『楠見さんも一応女の子なんだからさ、気を付けなよ』
『は、はい…』

隣の部署の灰谷くん。
私より身長がちょっぴり高いくらいの小柄で眼鏡が似合う、大きめカーディガンを羽織った癒し系男子。
女性社員が減っていくせいでいつの間にか彼が私の親友のようになっていた。
灰谷くんは私のことどう思ってるか分からないけど、私にとっては社内で何でも話せる唯一無二の存在だ。

でも待って。
もし灰谷くんの言う通りだとしたら、昨日と同じシャツでネクタイをしていないあの二人。
うちにネクタイを忘れた容疑者は高橋と山下くんのどちらかということ…?

"ラッキーカラーはネイビー"

あれ、紺色のネクタイ……
待って!
占い!当たってない!?

ってことは高橋か山下くんが……
私の王子様ってこと!?

…占い師はそこまで言ってないって?
だいたい似たようなこと言ってたでしょうよ。

とにかく恋愛運急上昇してきたーーーー!
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