恋はミステリー~会社編~
ははーん。分かったぞ。
わざわざ本人から聞かなくても周囲の人から情報を集めればいいんだわ。

高橋と一番仲いい人って誰なんだろ?

『あー、でもさ、高橋さんって楠見さんと怪しいよね』
『うわ、ねー、それ私も思ってたんだけど』

え、まじで?
どこが?

『よくイチャついてるもんね』

ダレとダレガ?
いつ?

『楠見さんも狙ってんのかなぁー』
『だとしたら絡み方小学生かよ』
『ウケる』

悪かったな、小学生で。

『あんなんで恋が始まんのはドラマだけっしょ』
『現実で見たことないよね、ケンカップル』
『ないない』
『楠見さんってちょっと女捨てすぎだよね』
『わかる!平気でスッピンでくるしね』
『こないだ、シャツに顔みたいなシミついてたし』
『ちょ、どんなシミだし!』

ボロカスすぎない?
泣いていいかな。

『ま、あんなんだし、敵じゃないよ』
『それもそっか』
『高橋さんと一番仲良さそうだし、協力してもらったらいいんじゃない?』
『あ!そうしよー!』

は?仲良くないし。
私の王子様かもしれない訳で、こっちが協力してもらいたいくらいなのだが。

って、待てよ。
まさか、アイツ友達いないのか…?
ぷぷっ、ざまぁ。

トイレでの情報収集が使えることが分かり昼休みはなるべく個室にこもることを決意した。

『あっ!遥香さん!』
『おー、どしたー』

増田くんがパタパタと近寄ってくる。
犬みたい。かわいい。

『どこ行ってたんすか?』
『トイレ』
『長かったっすね』
『おい、レディになんてこと言ってんだ』
『え?………あ!あー!ごめんなさいっ!』
『ちっ』
『あ、あの、違うんです!』
『よしよし』
『えーっ!?』

かわいい。かわいいから許す。
なんならちょっと触る。

そこそこ身長高いけど頭をポンポン出来るちょうどいい大きさをしている。
四人兄弟の末っ子だからか何もしなくても甘え上手なオーラが出ていて甘やかさないといけない気がしてくる不思議。

『あ、あの!今日の会議で必要な資料揃えておくように言われたんですけど、見当たらなくて……』
『あー、あれね、確か倉庫の奥のダンボールに入ってるんだよね』
『えー!どのダンボールですか!?』
『わかんない』
『な、なるほど…』
『ほら、早く行くよ』
『え?』
『二人で探せばすぐ見つかるっしょ』
『は、はい!』
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