赤薔薇の騎士公爵は、孤独なカヴァネスに愛を誓う
十章 赤薔薇の花嫁
議会で大公が無期限の禁固刑に処されてから一ヶ月が経った。毒殺の片棒を担いだルゴーンも同様に地下牢に入れられ、国民にも包み隠さず真実が伝えられた。
王族の全体の信用問題だとアルファスが国王を続けることに民から反発の声も上がったが、身内であろうと大公を議会で公正に裁いたことを認める意見もあり、現状としては国王の座につけている。
これからは国王として荒れる国を平定しつつ、彼の理想の国の土台を創りあげていかなければならないのでやることは山積みだった。
そして今日、大公の件も片付き前王妃の体調も回復したためにガイルモント公爵の所有する大聖堂で即位式が行われている。
前はルゴーンの邪魔が入り式は中断してしまったが、それでよかったのかもしれない。困難をくぐり抜け、より国王としての覚悟をもつことができた今だからこそ皆から尊敬の眼差しを向けられる王となれたのだ。
スヴェンとともに壁際に立ち、王冠を頭に乗せて凛と前を見据える彼の姿を目に焼きつけながら、彼のカヴァネスになれたことを心から誇らしく思った。
即位式を終えて城に帰ってくると、スヴェンに議会が終わるまで待っていてほしいと言われたシェリーは庭園を散歩していた。
大公が失脚してからは、議会の最終決定権をアルファスが担うことになった。国政に関わる機会が増えたことにより、シェリーは法律を重点的にアルファスに教えている。
国のために働くスヴェンやアルファスに自分にもしてあげられることがあると思うと、うれしかった。