赤薔薇の騎士公爵は、孤独なカヴァネスに愛を誓う
「出会った当初から感じていたが、シェリーは先進的な考えを持っている。さすがは俺の妻だな、頼りにしているぞ」
「お褒めに預かり光栄です」
「俺の知らないシェリーの一面を見るたびに、何度も心奪われる」
体の向きを変えられて、真正面から向き合う。
ガーネットの瞳が優しさを帯びて淡く輝くと、愛しくて仕方ないとばかりに前髪に口づけられた。
「ずっと共にいよう。そのために俺は剣を握り続ける」
「はい、永遠にあなたの側にいます」
両手を重ねて指を絡めるように握ると、お互いに一歩近づく。屈むスヴェンに合わせて背伸びをすると、唇が重なった。
こうして社交界の貴婦人の憧れの的であった騎士公爵は、絶家令嬢のカヴァネスと結ばれた。
多くの貴族令嬢を震撼させた出来事であり、初めはセントファイフ公爵の気が触れたのではないか、不釣り合いな夫婦だと陰口を叩かれたりもした。
しかし社交界でふたりが幸せそうに寄り添う姿を見た者たちから物語のようにドラマチックな結婚だと憧れられるようになり、赤薔薇の騎士とカヴァネスの恋はアルオスフィアの劇場や小説で伝えられて一世を風靡したのだった。
(END)