赤薔薇の騎士公爵は、孤独なカヴァネスに愛を誓う
「アルファス様に昨日、俺が言った言葉を伝えてくれたんだな。おかげで話すことができた。感謝する」
「いいえ、感謝させるようなことはなにも。もともと、おふたりの絆が強かったのです」
「お前がどう思おうと、俺は感謝している。素直にこの気持ちを受け取っといてくれ」
フッと笑いワインに口をつけるスヴェンは、やはり仕草までもが無駄なく上品だ。
公爵であり、想い人である彼とお酒を飲み交わしていることに今更ながら恥ずかしさを覚えた。
頬が熱くなり、うつむいてちびちびとワインを飲んでいると、「シェリー」と真剣みを帯びた声で名を呼ばれた。
緊張しながら顔をあげれば、燃えるようなガーネットの瞳がまっすぐに自分に向けられていることに気づき、とっさに目を逸らす。
「シェリー、なぜこちらを見ないのだ」
「なぜって……その質問は、答えにくい……です」
あなたに見つめられたことが恥ずかしかったからなんて、言えるはずがない。わかっていて聞いているのなら、彼は相当意地が悪い。
「せっかくお前といるというのに、顔が見えないのでは意味がない」
「どういうことでしょうか」
シェリーは目を合わせずに尋ねる。
「お前が酒の肴だからだ。これでは酒が進まん」
「あっ――」
瞬時に顎を掴まれて、スヴェンの方を向かせられる。目が合った瞬間に、羞恥で前進が燃え上がりそうだった。
「あぁ、やっぱりお前は美しい。その知性を滲ませるブルーゾイサイトの瞳も、髪色と同じで薄桃色に染まる頬も……」
赤ワインを口に含んだスヴェンは、グラスをナイトテーブルの上に置く。
顎を掴んだままの手はそのままに、空いた手でシェリーの後頭部を引き寄せると、深く口づけられる。
「んっ!」
突然のことに頭が真っ白になっていると舌で唇をこじ開けられる。
口内に赤ワインが注ぎ込まれ、スヴェンに与えられる熱なのかアルコールのせいなのかはわからないが、頭が蕩けてぼんやりとしてきた。
強く腰を引き寄せられ、肩から腰のラインを彼の無骨な手が這うとビクリと体が震える。
その反応を楽しむかのように、何度も手で擦られた。