赤薔薇の騎士公爵は、孤独なカヴァネスに愛を誓う
「あっ、スヴェン、様ぁ」
自分の声とは思えないほど、舌っ足らずで甘えるような声が出て耳が熱くなる。
唇を噛んで声を抑えようとすると強く抱きしめられた。
「シェリー、愛している」
息継ぎとともに囁かれる言葉は口づけよりも甘くて、シェリーは目に涙をにじませながらスヴェンの首に腕を回す。
「シェリー?」
目を見張るスヴェンを息を切らしながら見つめる。貰うばかりではなく、自分も愛していることを伝えたかったからだ。
「――私っ、も……愛して、います」
ワインの匂い香るベットで想いを口にすれば、スヴェンは息を詰まらせて首筋に顔を埋めてくる。
彼の前髪と吐息が首筋にかかり、そこに唇が押し当てられるとゾクッと痺れが走って身を捩った。
「――っ、今日はこれで我慢する。お前のことを大事にしたいからな」
「スヴェン様……うれしいです。私、スヴェン様が全然触れてくださらないから、女性としての魅力がないのかと――んっ」
言いかけた言葉はスヴェンの唇によって遮られる。
何事かと目を白黒させて赤面していると、そんなシェリーの顔を見てスヴェンはフッと笑った。
「魅力がない女に、このようなことはしない。この俺が欲情するのは世界でたったひとり、お前にだけだ」
「そ、そのようなことを……恥ずかしげもなく、いっ、言わないでください」
「不思議だな。普段は凛として美しいというのに、照れるお前は可愛らしい。色んな表情をするシェリーに、俺は心奪われてばかりだ」
宝物を扱うように瞼に優しく唇で触れられ、慈しむように髪を梳かれる。
こんなにも男性に愛されたことがなく、シェリーの心臓は壊れそうなほど脈打っていた。
「明日も早いしな、今日はこのまま寝よう」
背中に手が回ったかと思うと、スヴェンに優しく横たえられる。すぐ隣に彼も寝そべり、シェリーの体を引き寄せた。