大切なもの
動揺していると、樹里がぽつりぽつりと話し出した。
「本当は、嫉妬してただけなの。小さい頃は、私を優先してくれて一緒に居てくれたつかさが、翔といることに。」
樹里、そんなことで。
「今、つかさの中の一番は、翔なんだって。分かってたけど、悲しくて。そしたら、つかさからどんどん離れていって、もう後戻りできないようなところまで来てた。」
それって、私も悪いじゃん。樹里だけじゃないよ。
「本当にごめん。だから、絶交とか、そんなこと言わないで!」
「えっ?絶交?そんなのするわけないじゃん!」
そう言うと、樹里は目を見開く。何その反応、可愛い。
「なんで?私がつかさを避けるから、つかさは私が嫌になったんじゃないの?だから、今日私を呼びだしたんじゃ...」
そんなのあるわけないじゃん。
「違うよ。私が樹里になにかしちゃって、怒ってたのかなって思ったから今日は話したかっただけ。樹里と絶交するなんて考えられないもん」