僕の妻は理解不能
ここのひまわり畑は
丘一面にひまわりがあってその中に風車がすっと建っている場所だった。
正直に言うと予想より遥かに夢物語の世界にいる気がする。
僕にとってひまわり畑が綺麗かどうかは問題ではなく、愛菜が喜んでくれたかどうかだ。
でも、その心配はどこかに行った。
はるちゃんと手を繋ぎひまわり畑の中を走る愛菜は
この夢世界の住人に見えた。
僕はいつの間にか携帯で動画を取り始めていた。
「明日からまた仕事だよ」
拓翔くんが話しかけてきたので
取り続けていた動画を止めた。
「そうだね。明日しかも飲み会なんだよ…」
「うわっ。愛菜ちゃんじゃあ1人じゃん!
大丈夫なの?」
「まぁ、いつも母さんが来てくれるんだけど
ちょうど母さんも行けないらしいから
初めて1人の挑戦…」
「恭也くん、大丈夫?」
「あーーーーー
愛菜1人置いて飲み会なんて地獄だよ」
追い込まれる僕を優しくフォローする拓翔くん
引越しが終わっていれば2人のところに預けたい所だった。
「きょーうーやーさーん!!
ちょっと写真とってくれませんかー?」
丘の上から呼ぶ愛菜を見て
僕の機嫌は一気に直った。
「恭也くんは愛菜ちゃん振り回されてるなぁ」
後ろでぼそっとそう言う拓翔くんの声が聞こえた気がした。