言い訳～blanc noir～
「生まれ変わりってあるのかな。どんな形でもいい、沙織が猫でも犬でも何でもいいんだ。もう一度沙織に会いたいよ」

「ありますよ。絶対にあります！　私、スピ系の本時々読むんですけど、生まれ変わりはあるってどの本にも書いてましたよ」

「そっか」

「その本貸しますよ！　明日持って来ます。というか、明日休みだからどこか出掛けませんか？　ずっと外にも出てないんでしょ？　陽にあたらないとだめですよ」

「まだそういう気分じゃないんだ」

「そういう気分じゃなくても出掛けましょ？　気分転換したほうがいいですって」

　夏海の強引さに和樹が困ったように笑う。


　しかし夏海が言うようにこのまま廃人のように腐りきった生活を送り続けるわけにもいかない。

　体調を元に戻し、精神的に落ち着かせなければ仕事に支障が出てしまう。

　来月の復帰までにはコンディションを整えておかなければ。


「―――じゃあ、明日。どこに行きたいか考えておいて」


　夏海が笑みを浮かべ大きく頷く。

　その笑った顔がなぜか沙織と重なってしまい胸が詰まりそうになってしまった。


　そして翌日、夏海と出掛ける事になった。
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