言い訳~blanc noir~
「笑ってないで何とか言えよ」

 和樹が小さく笑う。するとふいに沙織が使っていたノートパソコンに目が向いた。

「そっちの世界にもネットがあればいいのにね。ブログ書けなくて暇だろ?」

 そう言葉にした瞬間ふと沙織のブログを思い出した。あの日以来、頭の中から沙織のブログがすっぽりと抜け落ちていた。

 すぐにノートパソコンを立ち上げ、和樹が登録した沙織の名前と生年月日を組み合わせたパスワードを入力すると“さおりちゃん”のホームにログイン出来た。


―――新しいコメントが10件あります!

 ホーム画面に赤文字で表示されていた。


【クロと私とご主人様】

最終更新日はあの日の午後1時。そこには和樹がまだ目を通していなかったブログが綴られていた。



『クロは娘』


ご主人様が前に「クロはさおりちゃんと俺の娘だよ」と言ってくれました。

ご主人様の娘だなんてクロはなんて幸せ者^^

私もご主人様の娘になりたいな。







 たったそれだけの短い内容だった。

 しかし沙織が初めてコメントをもらった“毛玉”というハンドルネームを使用している人物からコメントが何件も書き込まれていた。
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