言い訳~blanc noir~
「いえいえ。当然の事だと思います。いきなり妊娠したなんて言われてもびっくりするだろうし。私、体調不良っていう事でこのまま休みます。数日後辞表出しますから。これからばたばたになると思うけど、出来れば6月中には籍入れたいんですよね」
「ごめん。6月は……。沙織と入籍する予定だったから。7月まで待ってもらえないか?」
「ああ、そうでしたね。じゃあ7月でもいいですけど、その間、うちの親への挨拶とか全部済ませてくださいね? あと皆にはどう言うんですか?」
「そのままだよ。古賀さんと結婚する事になりましたって」
「妊娠の事は言わないでください。安定期に入るまでは何があるかわからないし。今まで産休入った人たちも皆、安定期に入ってから報告してたでしょ?」
「わかった」
「もう私、椎名さんと結婚するって事で親や仲のいい友達に報告してもいいですよね?」
ああ、と和樹は力なく頷く。
まるで全てがあらかじめ取り決められていた事のように話が進んでいくようだった。どこか現実味がなく、夢だと言われれば信じてしまうかもしれない。
ぼやけた思考に夏海の声だけが響く。
「ご両親には近いうちご挨拶に伺いますね」そう言った夏海はにこっと笑みを浮かべ、和樹を見つめる。
「よろしくお願いします、ご主人様」
―――ご主人様。
夏海は沙織がそう呼んでいた事を知っていたのだろうか。
和樹の胸が切なく音を立てた。
「ごめん。6月は……。沙織と入籍する予定だったから。7月まで待ってもらえないか?」
「ああ、そうでしたね。じゃあ7月でもいいですけど、その間、うちの親への挨拶とか全部済ませてくださいね? あと皆にはどう言うんですか?」
「そのままだよ。古賀さんと結婚する事になりましたって」
「妊娠の事は言わないでください。安定期に入るまでは何があるかわからないし。今まで産休入った人たちも皆、安定期に入ってから報告してたでしょ?」
「わかった」
「もう私、椎名さんと結婚するって事で親や仲のいい友達に報告してもいいですよね?」
ああ、と和樹は力なく頷く。
まるで全てがあらかじめ取り決められていた事のように話が進んでいくようだった。どこか現実味がなく、夢だと言われれば信じてしまうかもしれない。
ぼやけた思考に夏海の声だけが響く。
「ご両親には近いうちご挨拶に伺いますね」そう言った夏海はにこっと笑みを浮かべ、和樹を見つめる。
「よろしくお願いします、ご主人様」
―――ご主人様。
夏海は沙織がそう呼んでいた事を知っていたのだろうか。
和樹の胸が切なく音を立てた。