言い訳~blanc noir~
「どうしたの? なにそんなに怒ってるの?」
「こっち来いよ」
夏海の手を強引に引く。夏海は驚いたように「きゃっ」と声をあげた。
どんっと突き飛ばし、ソファに座らせると夏海は目尻を吊り上げ和樹を睨みつけた。
「なにするの!? お腹に赤ちゃんいるのよ!?」
笑いが堪えられなかった。気でもふれたかのように笑い声をあげる和樹。その姿を恐ろしいものでも眺めるような目で夏海が慄いていた。
冷ややかな笑みを口元に浮かべた和樹が「面白いね、本当に」と夏海を見下ろした。
夏海が不快そうに眉を顰める。
「なに笑ってるの? 和樹、どういう意味なの」
「お前今なんて言った?」
「お前ってなに!? 何で和樹にお前なんて呼ばれ方されないといけないわけ!」
「黙れ。俺はお前から和樹って呼び捨てにされる覚えはないんだけどな」
顔を真っ赤にさせ勢いよく立ち上がった夏海は和樹に向かって右手を振り上げた。が、その腕を掴みあげた和樹が馬鹿にしたように鼻先を鳴らした。
「痛っ……離してよ!! なにするの!? 信じられない」
「信じられない? お前は今まで何を信じてたんだよ? お得意のスピリチュアルか?」
「は!? 何言ってるの? 気でも狂ったの!?」
「ああ。そうだな」
掴みあげていた右手を離すと、夏海が腕をさすりながら和樹を睨みつける。しかし和樹の表情を目にした瞬間、夏海は空恐ろしいものを感じ、目を大きく見開いたまま固まってしまった。
氷のように冷たく突き刺すような眼差し。深層心理をまるで見透かすような眼光。和樹の体を覆う憎しみを含んだ威圧的な空気に夏海の恐怖心が煽られる。
口元に嘲笑を浮かべながら和樹が夏海を見下ろした。
「いつ流産する予定なの?」
真っ赤に染まっていた夏海の顔が、瞬く間に青ざめていく。
「こっち来いよ」
夏海の手を強引に引く。夏海は驚いたように「きゃっ」と声をあげた。
どんっと突き飛ばし、ソファに座らせると夏海は目尻を吊り上げ和樹を睨みつけた。
「なにするの!? お腹に赤ちゃんいるのよ!?」
笑いが堪えられなかった。気でもふれたかのように笑い声をあげる和樹。その姿を恐ろしいものでも眺めるような目で夏海が慄いていた。
冷ややかな笑みを口元に浮かべた和樹が「面白いね、本当に」と夏海を見下ろした。
夏海が不快そうに眉を顰める。
「なに笑ってるの? 和樹、どういう意味なの」
「お前今なんて言った?」
「お前ってなに!? 何で和樹にお前なんて呼ばれ方されないといけないわけ!」
「黙れ。俺はお前から和樹って呼び捨てにされる覚えはないんだけどな」
顔を真っ赤にさせ勢いよく立ち上がった夏海は和樹に向かって右手を振り上げた。が、その腕を掴みあげた和樹が馬鹿にしたように鼻先を鳴らした。
「痛っ……離してよ!! なにするの!? 信じられない」
「信じられない? お前は今まで何を信じてたんだよ? お得意のスピリチュアルか?」
「は!? 何言ってるの? 気でも狂ったの!?」
「ああ。そうだな」
掴みあげていた右手を離すと、夏海が腕をさすりながら和樹を睨みつける。しかし和樹の表情を目にした瞬間、夏海は空恐ろしいものを感じ、目を大きく見開いたまま固まってしまった。
氷のように冷たく突き刺すような眼差し。深層心理をまるで見透かすような眼光。和樹の体を覆う憎しみを含んだ威圧的な空気に夏海の恐怖心が煽られる。
口元に嘲笑を浮かべながら和樹が夏海を見下ろした。
「いつ流産する予定なの?」
真っ赤に染まっていた夏海の顔が、瞬く間に青ざめていく。