言い訳~blanc noir~
「椎名さん、焦らさないで……」

 わざとらしくそこを外して指先を動かす。発情期の雌猫のように腰を高く突き上げ、貪欲なまでに快楽を欲するこの女を眺めながら気が済むまで苛め続ける。

「もっと声だしてもいいよ」

 耳元で囁くと仰け反りながら声をあげる。

 こんな姿を晒しながら愛を欲する馬鹿な女。


―――俺に何を求めてるの?

 そう言いながら突き放したくなる。ぶっ壊してやりたくなる。


「椎名さん、好きになってもいい……?」


「俺はもう好きだよ、絵里子の事」


―――馬鹿か、と。


 心の中でただ嘲笑う。
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