言い訳~blanc noir~
「わかった。住むところとか、仕事とかどうするの?」
「―――実は私。好きな人がいるんだ」
意外だった。
専業主婦で家の中にほぼ籠りっきりの夏海にいつそんな男が出来たのだろうか。
「そうなんだ。相手は?」
「昔の彼氏。まだ独身なの。実は時々相談にのってもらってたんだ。よくあるケースだよね。相談してるうちに……ってやつよ。でも不倫だけはしないでおこうって決めてたから何も始まってないんだけど。これ以上悪い事すると本当に罰が当たりそうな気がして怖かったんだ。私、意外とびびりだからさ」
「離婚した後、その人のところに行くの?」
「すぐにっていうわけにはいかないだろうけど……。その予定にしてる。だから私の事は心配しないで。だけど、和樹にも立場や都合もあるだろうし。それにそもそもの発端は全て私が悪いんだから離婚条件があるなら出来る範囲で呑むつもりよ」
夏海が顔を上げると和樹を見つめた。
「離婚条件、か」
「何かある?」小首を傾げるようにして夏海は問いかけた。
「あるよ」
夏海を見つめ返した和樹が静かに笑みを浮かべた。
「―――実は私。好きな人がいるんだ」
意外だった。
専業主婦で家の中にほぼ籠りっきりの夏海にいつそんな男が出来たのだろうか。
「そうなんだ。相手は?」
「昔の彼氏。まだ独身なの。実は時々相談にのってもらってたんだ。よくあるケースだよね。相談してるうちに……ってやつよ。でも不倫だけはしないでおこうって決めてたから何も始まってないんだけど。これ以上悪い事すると本当に罰が当たりそうな気がして怖かったんだ。私、意外とびびりだからさ」
「離婚した後、その人のところに行くの?」
「すぐにっていうわけにはいかないだろうけど……。その予定にしてる。だから私の事は心配しないで。だけど、和樹にも立場や都合もあるだろうし。それにそもそもの発端は全て私が悪いんだから離婚条件があるなら出来る範囲で呑むつもりよ」
夏海が顔を上げると和樹を見つめた。
「離婚条件、か」
「何かある?」小首を傾げるようにして夏海は問いかけた。
「あるよ」
夏海を見つめ返した和樹が静かに笑みを浮かべた。